ギークハウス岩手三陸大船渡

岩手県大船渡市のIT系シェアハウス。農業・狩猟・田舎暮らし×Tech

「囲い罠を作る」イベントを行いました

住人の種延です。寒さとニート感にかなりの相関が見られる犬の写真になります。

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さて、東海新報さんにも載ってましたが、11/25~26日の週末に囲い罠を作るイベントを行いました。

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何となく10時に大船渡テレワークセンターに集合という運びにしましたが、朝9時30分くらいに目覚めてなぜ昼からにしなかったんだろうという後悔の元にイベントが始まります。

1日目 ワークショップ&罠の外枠を大体作る

この日は昼から参加する大学生も合わせると計12人という、想像してたより一回り多い参加者数になりました。一ノ関や遠野、仙台、吉浜など大船渡の周辺地域や東京から来てくれた人もいる感じです。

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事前に設計用意しておくよりも、そっから考えたほうが面白いんじゃないんですかねという露骨な後回しをしたこともあり、予想通り若干グダりつつも、とりあえずややこしいトリガー部分以外をサクっと作ってしまおうということで終わりました。

昼食に移動します。鎌田水産の海の幸ふるまいセンターで海の幸のふるまいを受けます。

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受けます。

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大船渡に来た人に対する恒例の圧倒的な食の暴力です。ここは最近できたお店で、ご飯や味噌汁もおかわり自由なのが嬉しいですね。500円ランチがうまいし、1000円でカキ・ホタテが大量にやってくる人気スポットです。

昼食を済ませてからは囲い罠の材料購入に向かいます。

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コメリですね。アクセントは新潟ネイティブのコにつけましょう。

今回の囲い罠ですが、基本的に3mの単管パイプを組み合わせて、金網で囲うというシンプルなものです。今回はプロトタイプということでギークハウス大船渡の庭に正面は3m、奥行きが6m、高さは3mのパイプ一本で返しを2m以上のところにつけるという感じです。

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ワイヤーメッシュは万が一暴れた時のことを考えて少し太めのものを購入します。

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単管は3メートルです。長辺はコネクタで接続します。あとはクランプで組み立てていく感じになります。

他、作業に必要な小物を購入して、参加者の大学生2人も合流したので作業場所のギークハウス大船渡に移動します。ちなみにわんこのドッグフードを切らしてたのでさり気なく混ぜておきました。

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ギークハウス千葉大網の馬場式ロケットストーブで温まります。火はいい…。

火を囲むとついまったり過ごしてしまうのですが、ぼちぼち作業にも取り掛かります。

が、ここで今後の作業にすさまじく影響することが判明します。

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うちの庭めっちゃデコボコなんですよね…。今回は仮置きで正式な場所を借りるということだったのであんまり考えてなかったのですが、これは盲点です。

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とにかく「フレキシブル」というバズワードを胸に作業に当たります。面の歪みを見ていきながら何とか平行に組み立てていきます。

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 罠のフレーム部分と言うべき単管パイプとクランプですが、これはなかなか感動しました。単管とクランプが本当に色々なものができそうです。罠を作ってる最中ですが、自転車が雨ざらしなので自転車置場の屋根を猛烈に作りたくなります。

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あとインパクトドライバーが大活躍しました。割りと角度を見ながら微調整することが多かったので、レンチで開け閉めしてたらもっと時間がかかってただろうなあという感じです。テクノロジーに感謝。

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あと作業に水準器必須じゃんということに気づいたのですが、ここでiPhoneが活躍してくれました。

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扉部分以外のコの字の骨組みが出来上がったので結束バンドで金網を固定していきます。

基本的な外枠部分ができました。なんだかんだ2時間くらいで作業は終了して、扉部分を明日作っていくことにしました。

大船渡温泉でゆでダコになってから、無謀にもこの人数でギークハウスのリビングで懇親会を開きます。

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この日は猟師さんから鹿肉をいただきました。かなり良い部位をいただいたみたいで、めちゃくちゃおいしかったです。写真が上手く撮れなくて残念。例のキムチ鍋については参加者の胸にしまっておきましょう。

2日目 扉の作成&できれば作動とロックまで

2日目もテレワークセンターで扉の構造やトリガーの稼働方法などを考えるところから始まります。

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扉の構造ですが、要件の難しさがありました。今回の罠の狙いから考えると、まず設置箇所が平坦であることや、人里に侵入してくる鹿への対処ということも考えて、設置場所は必然的に人間の生活エリアに近くなってきます。

したがって、罠の作動に関して、例えば子どもが罠に近づいたりしてしまうことを考えると、できるだけ危険性の少ない動作を考えなければなりません。しかし、鹿が簡単に逃げられないように扉部分は同時に堅牢にしなくてはならないため、ここの兼ね合いをどう折り合いをつけるかという部分が問題に挙がりました。

とりあえず、今回は安全性がマストということで一旦扉部分をネットが落ちてくるようにして、返しのような機構が作れないかを実際に作りながら考えることにします。

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こんな感じでトリガーが発動すると上からネットが降りてくるというのをベースにします。

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まず、扉部分に斜めの単管パイプを配置して返しにできないか試してみることにしました。3mは少し長いのでカットしてもらいます。

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こういう感じですね。上から落下したネットのエッジが返しのところに入り込んで上には持ち上がらなくなるのではないかということです。これは確かに上がらなくなるんですが、例えばネットに向かって突進されたりしたときの横方向には返しが機能しません。

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X方向の返しも追加してみましたが、X方向にもY方向にも返しを完全に機能させるとそもそもネットが返しの中に入れません。

通常の罠だと重い扉を上からスライドさせて終わりなのですが、安全面を考えてネットを張る場合は罠としての機能を担保するために返し部分にもちょっとした動的な仕組みが必要なのではないかと思い始めます。

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お昼はロケットストーブでうどんです。炊き出し感がありますね。ご飯を挟むといいイベントだった感が場を包み始めますが、気を取り直して作業再開です。

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写真だとすこしわかりづらいですが、斜めの返しの固定を扉側の一点のみにして、ネットの落下の衝撃で返しが回転して蓋をするように被さればいいのではないかということで試してみます。これは角度が難しいですが、実験してみると意外とうまく動作します。

もちろんこれはパイプが上に乗ってるだけなのでまだまだ返しとしての強度が足りなかったり、落下の衝突部分の耐久性などの問題もありますが、ギミックの動き方としてはなかなか面白いものがあります。

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扉のトリガー部分と、返しの部分(扉のロックと、あとは上部の飛び越え防止部分も含めて)などに課題を残しつつも、おおよその部分は完成してイベントは無事終了しました。

外観を見ると囲い罠というより巨大な箱罠という感じですが、基本的に単管パイプを増やせばそのままスケールできるのが強みですね。

テクニカルな部分が解決しても、鹿が実際にこういう構造物に入るのかとか様々な面で試行錯誤が必要だと思いますが、やはり実際に作ってみるのは学びが大きいですね。

イベントの振り返り

参加者の熱量がすごかった

今回の参加者は大船渡の周辺地域の方々に多く参加していただいたのですが、狩猟免許保持者や取得予定者、地域事業に従事している人など、狩猟や鳥獣対策に強い興味を持っているというところで共通していて強い熱量を感じました。

都市部から遠いということは、必然的に興味・関心が強い人達が集まるので面白いところです。

狩猟はかなり関心の高いトピックだと思った

今回はFacebookイベントを通じて参加者を募りましたが、最終的に1.6万ユニークユーザーにリーチしており、狩猟というトピックに関心がある人はやっぱり多いんだなと感じました。イベントを主催した経験があまりないのでこの辺の数値に詳しいわけではないですけど、田舎のイベントとしては結構大きい数字なんじゃないかなと思います。

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当初は東京方面から何人か参加してくれるといいかなという感じだったのですが、実際には周辺地域の人達にも多く伝播していたみたいで面白い広がり方だなあと思いました。

有害鳥獣問題で人手不足が叫ばれている一方で潜在的に興味を持っている人もたくさんいるので、ここらへんの障壁を上手く取り除いてマッチさせていくといい方向に転がらないかなあという印象です。

単管パイプすごい

組み合わせ次第でなんでも作れそう感がすごいですね。大人のレゴブロックという感じ。

狩猟関係の情報もう少し欲しいかも

大体わからないことはググれば解決することが多いのですが、狩猟に関しては当たり前ですけど情報がかなり少ないので、情報にアクセスしやすくなればいいかなあと思いました。

イメージの共有方法を考えないといけない

今回は罠の構造や仕組みを考えるところから始めたんですが、ホワイトボードとかがあればイメージの共有がしやすかったのかなあと思いました。

あとは設計を前もって準備しておかないと実際の施行順序にも影響するんだなあという感想です。地面のデコボコ具合も相まってその場その場で微調整しながら作業しましたが、いい感じのワークフローを見つけられるともう少しスムーズに行けたのかなと反省。

鹿企画はまだまだ続きます

というわけで、主催側の準備不足もあり、ちょっとグダグダしてしまいましたが、参加者の皆さんのおかげで無事にイベントを終了することができました。

それから、罠はまだまだ未完成なので今シーズン中に引き続き作業していきます。特にイベント開かれてない日でも事前に声をかけていただければ対応できるときもあるので、是非遊びにきていじってください。